小酒井不木の世界観

「小酒井不木全集第8巻」「新道話」P319

「群衆心理という不思議な暴君がある。この暴君の命令を受けると、人間は我を忘れて愚かなことを敢えてする。」

      

「総理大臣となるにはどんな資格が必要であるか」ということが一座の話題となった。すると政客の一人は「雄弁」といひ、も一人は「博識」といひ、も一人は「勤勉」といった。最後にピットは徐に口を開いて「どなたも間違っています。総理大臣にとなる資格は堪忍です」と言い放った。

「他人から罵られても、それを綺麗な洒落で言い返し、相手をへこまさせる位になれば、一人前の修業が出来たと言ってよいであろう」

「芸術と学問には不撓不屈の心が要る。」

 

  新青年読本 新青年研究会 1988.2.20    作品社  P44

「科学とは不思議を殺すのではなくして、不思議を浄化するものである」

 

「不木全集第11巻 三面座談」P1

「三面という言葉は、新聞の三面の意味ではなくて、医者のことである。西洋の古い諺に『医者には三つの面がある。脈をみるときは天使の面である。治療を行うときは、神の面である。けれど報酬を請求するときは、悪魔の面である』とある。」